「あれ?またウンチしてる…しかも水っぽい…」 赤ちゃんが何度もゆるいウンチをしたり、おむつ替えの回数が急に増えたりすると、心配になりますよね。「お腹の調子でも悪いのかな?」「何か変なものでも食べさせちゃった?」「脱水症状になったらどうしよう…」次から次へと不安が押し寄せてくるかもしれません。
おむつを開けるたびに、また下痢便だとため息が出たり、おむつかぶれも気になったり…。夜中も何度も起こされると、ママもパパも心身ともに疲れ果ててしまいますよね。
そのお気持ち、本当によく分かります。「どう対応したらいいの?」と不安に思うのは当然です。
今回は、そんな赤ちゃんの下痢について、なぜ起こるのか、お家でできる基本的なケア、そして「これは病院へ!」という受診の目安まで、分かりやすく解説します。正しい知識を身につけて、少しでも安心して対応できるようになりましょう!
これって下痢? 赤ちゃんのウンチと下痢のサイン
まず、赤ちゃんの「下痢」について正しく理解しましょう。
赤ちゃんのウンチは変化しやすい!
赤ちゃんのウンチは、月齢や飲んでいるもの(母乳かミルクか)、離乳食の進み具合によって、色も硬さも回数も大きく変わります。特に、母乳育ちの赤ちゃんは、もともとウンチがゆるめで回数が多い傾向があるので、普段から「うちの子の普通のウンチはどんな感じかな?」と観察しておくことが大切です。
「下痢」ってどんな状態?
普段のウンチと比べて、明らかに水分が多く水っぽい状態(水様便)で、回数も増えている場合を「下痢」と考えます。色やにおいがいつもと違うこともあります。
どうして下痢になるの? 主な原因は?
① ウイルスや細菌による感染症(胃腸炎)
これが最も多い原因です。ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどのウイルスや、サルモネラ菌、カンピロバクター菌などの細菌に感染すると、腸の粘膜がダメージを受けたり、腸の動きが活発になりすぎたりして下痢を起こします。
② 食べ物や飲み物
- 消化の悪いものを食べた
- 冷たいものをたくさん飲んだり食べたりした
- 乳糖不耐症(牛乳や乳製品に含まれる乳糖をうまく分解できず、下痢を起こしやすい体質)
- 食物アレルギー(特定の食べ物に対してアレルギー反応を起こし、下痢をすることも)
③ お薬の副作用
抗生物質などを服用すると、腸内細菌のバランスが崩れて下痢をすることがあります。
④ 環境の変化やストレス
まれですが、大きな環境の変化などが影響することも。
下痢と一緒に出やすい症状は?
- お腹がゴロゴロ鳴る、お腹を痛そうにする(不機嫌になったり、泣いたりする)
- 食欲がない
- 吐き気、嘔吐
- 発熱
- おしりが赤くなる(おむつかぶれ)
- 元気がない、ぐったりしている(特に脱水症状には要注意!)
下痢の原因は様々です。ウンチの状態だけでなく、赤ちゃんの機嫌、食欲、活気、他に症状がないかなど、全身の状態をしっかり観察することがとても重要です。
お家でできるケアは? 赤ちゃんが下痢の時の基本対応
赤ちゃんが下痢をしている時、お家でできる基本的なケアをご紹介します。
【最重要!】こまめな水分補給で脱水を防ぐ!
下痢の時は、便と一緒にたくさんの水分と塩分(電解質)が体から失われてしまいます。脱水症状を防ぐことが何よりも大切!
母乳やミルク(医師の指示がない限り、薄めずにいつも通りでOK)、湯冷まし、麦茶、そして赤ちゃん用のイオン飲料(経口補水液)がおすすめです。経口補水液は、失われた水分と電解質を効率よく補給できます。
一度にたくさん飲ませると吐いてしまうことがあるので、スプーンやスポイトなどで少量ずつ、回数を多くして根気よく与えましょう。吐き気がある場合は、5分おきにスプーン1杯から、などさらに少量から試してみてください。
離乳食の工夫
まず大前提として、無理強いは禁物です! 食欲がない時は、水分補給を優先し、無理に食べさせる必要はありません。
おかゆ(軟飯)、よく煮込んだうどん、すりおろしたりんご、野菜を煮込んだスープ、豆腐など、胃腸に負担の少ないものを選びましょう。
脂っこいもの、食物繊維の多い野菜(ごぼう、きのこなど)、冷たいもの、柑橘系のジュース、牛乳やヨーグルトなどの乳製品(乳糖不耐症の可能性がある場合や、下痢が悪化する場合)は、症状が落ち着くまで控えた方が良いでしょう。
弱っている胃腸に余計な負担をかけず、消化吸収しやすいものを与えることが大切です。
おしりを守る! 清潔&優しくケア
下痢便は、皮膚への刺激が強く、おむつかぶれを起こしやすい状態です。
- おむつはこまめに交換!
- ウンチのたびに、ぬるま湯で優しく洗い流すのが一番です。難しい場合は、濡らした柔らかいコットンやガーゼで、こすらずに押さえるように拭き取りましょう。
- きれいにしたら、しっかり乾かしてから、ワセリンや亜鉛華軟膏などの保護剤を塗って、おむつかぶれを予防・悪化させないようにしましょう。
安静と保温
激しい遊びは避け、お家で静かに過ごせるようにしましょう。お腹を冷やさないように、寝ている時などは腹巻きやタオルケットをかけてあげるのも良いですね。
整腸剤・下痢止めについて
- 自己判断で市販薬を使うのは絶対にやめましょう。
- 医師から処方された整腸剤は、指示通りに飲ませてあげてください。
- 赤ちゃんに下痢止めを使うことは、基本的に推奨されていません。
下痢は、体の中の悪いものを外に出そうとする、体の防御反応でもあります。無理に下痢を止めてしまうと、かえって病原体が体内に留まり、回復が遅れてしまう可能性があるからです。
ウンチの状態をメモ
いつから下痢が始まったか、1日に何回ウンチが出たか、色や状態(水っぽさ、粘液や血が混じっていないかなど)、水分や食事はどれくらい摂れたか、おしっこの回数、機嫌、体温、他に症状はないかなどを記録しておくと、病院を受診する際に医師に正確な情報を伝えることができ、診断の助けになります。
これはやめて! 赤ちゃん下痢の時のNGケア
良かれと思ってやったことが、かえって症状を悪化させてしまうことも…。以下の点に注意しましょう。
NG① 水分補給を怠る、または糖分の多いジュースや牛乳ばかり与える
脱水は本当に怖いです。また、糖分の多いジュースや、下痢の時に消化しにくい牛乳は、症状を悪化させる可能性があります。
NG② 自己判断で大人用の下痢止めや、他の子の薬を使う
当然ですが絶対にNG! 必ず医師に相談し、指示に従いましょう。
NG③ 消化の悪いものや刺激物を無理に食べさせる
弱った胃腸には大きな負担になります。症状が落ち着くまでは、お腹に優しく消化の良いものを与えるようにしましょう。
NG④ おしりをゴシゴシ強く拭く
ただでさえデリケートな赤ちゃんのおしりの皮膚。下痢便で刺激を受けているところに、さらに摩擦が加わると、おむつかぶれが悪化してしまいます。
NG⑤ 長時間、汚れたおむつをつけっぱなしにする
これも肌トラブルの原因に。最近のおむつは吸水力が向上し、濡れた状態でも赤ちゃんに不快感を極力与えないように工夫がされているため、下痢状のウンチをしても赤ちゃんがあまりぐずらず、すぐに気づかないことがあります。
おしっこならともかく、下痢は肌への刺激が強いので、症状が治まるまではこまめにウンチをしていないかチェックして、すぐに交換してあげることが大切です。
この下痢は病院へ!見逃せない受診のサインと相談窓口
「お家で様子を見ていて大丈夫かな…?」「病院に行った方がいいのかな…?」判断に迷いますよね。以下のサインが見られたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
すぐに受診すべきサイン
- 半日以上おしっこが出ていない、または量が極端に少ない
- 口の中や唇がカサカサに乾いている
- 皮膚の張りがなく、指でつまんでもすぐに戻らない
- 目が落ちくぼんでいるように見える、泣いても涙が出ない
- ぐったりしていて元気がない、あやしても反応が鈍い、意識がぼんやりしている
- 血が混じったウンチが出た(イチゴジャムのような便、赤い筋が混じる、黒っぽいタール状の便など)
- 白っぽいウンチが出た(米のとぎ汁のような水様便、クリーム色や灰白色の便など)
- 吐き気や嘔吐を繰り返す(特に、緑色のものを吐いた場合は要注意!)
- 高い熱が続いている(38.5℃以上など)、または熱がなくてもぐったりしている
- お腹をひどく痛がり、泣き止まない。お腹がパンパンに張っている。
- 下痢が1週間以上続いている、または日増しにひどくなっている。
- 顔色が悪く(青白い、土気色など)、ぐったりしている。
上記に明確に当てはまらない場合でも、「いつもと違う」「何かおかしい」という親の直感は、とても大切です。不安な時は、迷わず相談しましょう。
困った時の相談先
かかりつけの小児科医
まずは、普段から赤ちゃんの健康状態を把握してくれている、かかりつけ医に相談するのが一番です。
夜間や休日で判断に迷ったら…
こども医療でんわ相談(#8000)
看護師さんや医師が、電話で症状に応じたアドバイスをしてくれます。全国共通の短縮番号なので、覚えておくと安心です。(お住まいの地域によっては、利用できる時間帯が異なります)
東京都こども医療ガイド(ウェブサイト・アプリ)
https://www.guide.metro.tokyo.lg.jp/ のような、症状を入力すると緊急度を判定してくれるオンラインサービスも役立ちます。(※こちらは東京都の例です。お住まいの自治体でも同様のサービスがあるか確認してみてください)
各自治体の救急相談窓口
市区町村や消防庁などが設けている相談窓口もあります。
緊急性が高いと感じたら
ためらわずに救急車(119番)を呼びましょう。判断に迷う場合は、救急相談センター(#7119 ※実施地域か確認)に電話して相談することもできます。
下痢は体のサイン。正しいケアと早めの相談で乗り切ろう!
赤ちゃんの下痢は、様々な原因で起こりうる、体からの大切なサインです。 一番大切なのは、「脱水を起こさせないこと」そして「赤ちゃんの全身状態をしっかり観察すること」。
お家でのケアで様子を見られる場合と、すぐに医療機関を受診する必要がある場合の見極めが重要になります。
「おかしいな?」と感じたら、#8000のような相談窓口を上手に活用し、決して一人で抱え込まず、専門家のアドバイスを受けてくださいね。
下痢の時は、おむつ替えの回数も増え、おしりも荒れやすくなり、ママもパパも本当に大変だと思います。でも、根気強く、優しくケアしてあげることが、赤ちゃんの回復への近道です。
必ず良くなる日が来ます。それまで、どうかご自身のお体も大切に、無理せず休息を取りながら、赤ちゃんの回復をサポートしていきましょう。応援しています!