体調不良

熱が出た!どうしよう… 赤ちゃんの急な発熱、慌てないための対応ガイド

「あれ?なんだか体が熱い…」 「いつもより元気がない気がする…」 赤ちゃんが熱を出すと、ママもパパも一気に不安になりますよね。特に初めての発熱だと、「どうしたらいいの!?」「何か悪い病気だったら…」と、頭が真っ白になってしまうこともあるかもしれません。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。

でも、大丈夫。赤ちゃんの急な発熱は、多くの親が経験する道です。そんな時こそ、まずは深呼吸。落ち着いて対応できるよう、赤ちゃんの熱について正しい知識を身につけ、お家でのケア方法や、病院へ行くべきサインを一緒に確認していきましょう!

何度からが発熱? 赤ちゃんの熱と一緒に出やすい症状

まず、赤ちゃんの「熱」について基本的なことを知っておきましょう。

赤ちゃんの平熱って何度くらい?

赤ちゃんは、大人よりも基礎代謝が活発で体温調節機能が未熟なため、平熱が少し高めです。一般的に36.5℃~37.4℃くらいを平熱とする子が多いですが、これには個人差があります。機嫌が良くて元気な時に何度か体温を測り、その子の平熱を把握しておくと、いざという時に役立ちますよ。

「発熱」って何度から?

一般的には、体温が37.5℃以上になると「発熱」と考えます。38℃を超えると「高熱」と言われることが多いです。ただし、熱の高さだけでなく、赤ちゃんの機嫌、食欲、顔色、活気など、全身の状態を総合的に見ることがとても大切です。

どうして熱が出るの?

発熱は、体の中にウイルスや細菌などの病原体が侵入した時に、体がそれらと戦うために起こる防御反応の一つです。熱を出すことで、体の免疫力を高め、病原体の増殖を抑えようとしているのです。つまり、熱が出ること自体が必ずしも悪いことばかりではない、ということも覚えておいてくださいね。

熱と一緒に出やすい症状は?

熱が出ると、赤ちゃんは以下のような様子を見せることがあります。

  • いつもより機嫌が悪く、ぐずったり泣いたりしやすい
  • 食欲がない、ミルクや母乳の飲みが悪くなる
  • 顔が赤く火照る、触ると体が熱い
  • 呼吸が速くなる、心拍数が上がる
  • 汗をたくさんかく(ただし、熱が上がりきる前は、逆に寒気を感じてブルブル震えることもあります)
  • ぐったりして元気がない、遊びたがらない
  • 原因となっている病気によっては、鼻水、咳、喉の痛み、嘔吐、下痢などの症状を伴うこともあります。

お家でできることは? 赤ちゃんが熱を出した時の基本ケア

赤ちゃんが熱を出した時、お家でできる基本的なケア方法をご紹介します。慌てず、落ち着いて対応してあげましょう。

まずは安静に!静かに過ごせる環境を

興奮させたり、無理に遊ばせたりせず、静かに横になって休ませてあげましょう。

水分補給はこまめに!脱水を防ぐ

発熱時は、汗をかいたり呼吸が速くなったりして、体から水分が失われやすい状態です。脱水を起こさないように、こまめな水分補給が最も大切! 母乳やミルク、湯冷まし、麦茶、赤ちゃん用のイオン飲料(経口補水液)などを、少量ずつ、回数を多くして与えてあげましょう。

水分が不足すると、体温調節がうまくいかなくなったり、体力の消耗が激しくなったりします。

着せすぎ注意!衣服・寝具で体温調節

熱が上がりきって暑そうな時

汗をかいていたら、こまめに着替えさせてあげましょう。衣服は薄着にし、掛け物もタオルケットなど薄手のものに。室温も快適に保ちましょう(目安は20~22℃くらいですが、赤ちゃんの様子を見て調整)。

熱が上がりきる前で寒がっている時(悪寒)

手足が冷たく、ブルブル震えているようなら、少し温かめにしてあげましょう。ただし、熱が上がり始めたら、すぐに熱がこもらないように調整が必要です。

クーリングは慎重に

首の周り、脇の下、太ももの付け根など、太い血管が通っている部分を、冷たすぎない程度に冷やしてあげると、熱が下がりやすくなることがあります。(冷却ジェルシートや保冷剤をタオルで包むなど)ただし、赤ちゃんが嫌がる場合は無理強いしないこと。 冷却シートをおでこに貼る場合は、窒息の危険がないよう十分注意してください。

赤ちゃんは体温調節機能が未熟なので、周りの環境で上手にサポートしてあげる必要があります。無理なクーリングは逆効果になることも。

食事は無理せず、消化の良いものを

食欲がない時は、無理に食べさせる必要はありません。母乳やミルクだけでも大丈夫。食べられるようなら、おかゆやうどん、すりおろしリンゴなど、消化の良いものを少量ずつ与えてみましょう。

部屋の換気と加湿

空気を入れ替えて清潔に保ち、乾燥しないように加湿器などで湿度を調整しましょう(目安は50~60%)。

お薬は慎重に!解熱剤を使うタイミング

一般的に、体温が38.5℃以上で、かつ赤ちゃんが熱でつらそうにしている時(ぐずって眠れない、水分も受け付けないなど)に使用を検討します。熱が高いこと自体が悪いわけではないので、38.5℃以上でも比較的機嫌が良く、水分も摂れているようなら、必ずしも使う必要はありません。

赤ちゃんには、アセトアミノフェンという成分の解熱剤が比較的安全とされています。座薬と飲み薬(シロップや粉薬)があります。

必ず医師の指示や、薬の説明書に書かれた用法・用量を守って使用しましょう。 解熱剤は、病気そのものを治す薬ではなく、一時的に熱を下げて症状を和らげるためのものです。

熱による不快感を軽減し、体力の消耗を防ぎ、水分や睡眠をとりやすくすることが目的です。

熱の経過や症状をメモ

何時に何度熱があったか、水分はどれくらい飲めたか、おしっこは何回出たか、機嫌はどうだったか、他にどんな症状があるかなどを記録しておくと、病院を受診する際に医師に正確な情報を伝えることができ、診断の助けになります。

良かれと思って…は逆効果? 赤ちゃん発熱時のNGケア

赤ちゃんが熱で苦しんでいると、つい色々してあげたくなりますが、中には逆効果になってしまうNG行為もあります。

NG① 厚着させすぎる・温めすぎる

熱がこもってしまい、体温がさらに上がってしまう可能性があります。(悪寒がある時以外は、基本的に涼しくしてあげましょう)

NG② 無理に冷やしすぎる

急激に体温を下げると、かえって体に負担がかかります。氷枕などで直接長時間冷やすのは避け、様子を見ながら優しく冷やしてあげましょう。

NG③ 自己判断で大人用の薬や他の子の薬を与える

絶対にダメ! 赤ちゃんには量が多すぎたり、合わない成分だったりして、非常に危険です。

NG④ 無理に食事や水分を詰め込む

吐き気がある時などに無理強いすると、嘔吐を誘発してしまうことがあります。少量ずつ、赤ちゃんのペースに合わせて。

NG⑤ 熱が高い時のお風呂

体力を消耗させてしまうので、高熱時やぐったりしている時は避け、体を温かく絞ったタオルで優しく拭いてあげる程度にしましょう。熱が下がり、元気が出てくれば、短時間のシャワーなら大丈夫な場合もありますが、医師に確認すると安心です。

こんな時はすぐに病院へ!見逃したくない受診のサイン【相談窓口も】

「お家で様子を見ていて大丈夫かな…?」「病院に行った方がいいのかな…?」判断に迷うことも多いですよね。以下のサインが見られたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。

すぐに受診すべきサイン

生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上の熱を出した場合

この月齢の赤ちゃんは重症化しやすいため、原則としてすぐに受診が必要です。

熱が高い・続く

  • 39℃以上の高熱が続いている(特に元気がない場合)
  • 38℃以上の熱が2~3日以上続いている

水分が摂れない・脱水症状の疑い

  • ミルクや母乳、水分をほとんど受け付けない
  • 半日以上おしっこが出ていない、おしっこの色が濃くて量が少ない
  • 口の中や唇がカサカサに乾いている
  • 皮膚の張りがなく、目が落ちくぼんでいるように見える
  • 泣いても涙が出ない

全身状態が悪い

  • ぐったりしていて、あやしてもほとんど反応がない
  • 顔色が悪く、青白い、または土気色

呼吸がおかしい

  • 呼吸が速く、苦しそう(ゼーゼー、ヒューヒューしている、肩で息をしている、小鼻がヒクヒクしているなど)
  • 呼吸時に胸がペコペコへこむ(陥没呼吸)

意識がおかしい・けいれん

  • 呼びかけに反応しない、視線が合わない
  • 体が硬直したり、ガクガク震えたりする「けいれん」を起こした(けいれんが5分以上続く、または繰り返す場合は救急車を!)

嘔吐・下痢がひどい

  • 何度も繰り返し吐いてしまう
  • 水のような下痢が続き、ぐったりしている

発疹が出ている

  • 体や顔に、普段見られないような発疹が出ている(特に、赤い点状の発疹や、水ぶくれのような発疹など)

原因が分からず、とにかく心配!

「いつもと違う」「何かおかしい」という親の直感も大切です。不安な時は、迷わず相談しましょう。

困った時の相談先

かかりつけの小児科医

まずは、普段から赤ちゃんの健康状態を把握してくれている、かかりつけ医に相談するのが一番です。

夜間や休日で判断に迷ったら…

こども医療でんわ相談(#8000)

看護師さんや医師が、電話で症状に応じたアドバイスをしてくれます。全国共通の短縮番号なので、覚えておくと安心です。(お住まいの地域によっては、利用できる時間帯が異なります)

東京都こども医療ガイド(ウェブサイト・アプリ)

https://www.guide.metro.tokyo.lg.jp/ のような、症状を入力すると緊急度を判定してくれるオンラインサービスも役立ちます。(※こちらは東京都の例です。お住まいの自治体でも同様のサービスがあるか確認してみてください)

各自治体の救急相談窓口

市区町村や消防庁などが設けている相談窓口もあります。

緊急性が高いと感じたら

ためらわずに救急車(119番)を呼びましょう。判断に迷う場合は、救急相談センター(#7119 ※実施地域か確認)に電話して相談することもできます。

発熱は成長の試練。正しい知識と愛情で乗り越えよう

赤ちゃんの初めての発熱は、ママやパパにとって、本当に大きな試練ですよね。でも、それは赤ちゃんが、目に見えないウイルスや細菌と、一生懸命戦っている証でもあります。

大切なのは、慌てず、赤ちゃんの様子をしっかり観察し、適切なケアをしてあげること。そして、「これはお家で様子を見て大丈夫」「これはすぐに病院へ行くべきサインだ」という見極めができることです。

#8000のような相談窓口も上手に活用して、一人で抱え込まず、専門家のアドバイスを積極的に受けてくださいね。

今はつらくても、必ず熱は下がり、いつもの元気な笑顔が戻ってきます。それまで、たっぷりの愛情で看病してあげてください。

そして、看病するママやパパ自身も、体調を崩さないように、無理せず休息を取ることを忘れないでくださいね。応援しています!