「この子、なんだか飲み込みが早い気がする…」
「周りの音や光にすごく敏感に反応するなぁ」
「おもちゃや絵本への集中力がすごいかも…!」
毎日、愛情を込めて赤ちゃんのお世話をする中で、ふと我が子の非凡な才能の片鱗を感じ、「もしかして、この子は特別な才能を持っているのでは?」「いわゆる『ギフテッド』ってやつなのかな?」なんて、期待に胸を膨らませることがあるかもしれませんね。
我が子の健やかな成長を願うのはもちろんのこと、「この子の持つ素晴らしい素質や才能を見つけて、伸ばしてあげたい!」そう願うのは、親としてとても自然な気持ちだと思います。
今回は、そんなママさん、パパさんの気持ちに寄り添いながら、「ギフテッド」とは何か、そして0歳の赤ちゃんに見られるかもしれない特徴や、向き合い方について、一緒に考えていきたいと思います。
「ギフテッド」って、そもそも何? 天才とは違う?
「ギフテッド(Gifted)」という言葉は、直訳すると「(神様から)与えられたもの」といった意味合いを持ちます。一般的には、知的能力、創造性、特定の学術分野(数学、語学など)、芸術(音楽、美術など)、リーダーシップ、運動能力といった様々な領域において、同年齢の子どもたちと比べて、突出した能力や高い可能性を示す人を指す概念として使われています。
よく「ギフテッド=IQが高い天才」というイメージを持たれがちですが、それだけではありません。ギフテッドとされる人々には、以下のような特徴が見られることもあります。
- 非常に強い好奇心や探求心
- 驚異的な集中力、物事への没頭
- 深い感受性、共感性の高さ
- 独創的なアイデアや思考力
- 強い正義感や完璧主義的な傾向
ただし、「ギフテッド」の明確な定義や認定基準は、国や研究者によって様々で、世界共通の統一されたものがあるわけではありません。また、優れた才能を持つ一方で、発達にアンバランスさ(凸凹)を抱え、周りの環境とのギャップに悩むケースがあることも知っておく必要があります。
【あくまでヒント!】0歳児に見られるギフテッドの片鱗と言われる特徴
さて、ここからが本題ですが、まず非常に重要なことをお伝えしなければなりません。
0歳の時点で、赤ちゃんがギフテッドであるかどうかを判断することは、ほぼ不可能です。
この時期の赤ちゃんの成長スピードや発達の現れ方は、本当に千差万別。今は周りの子より発達が早く見えても、それは一時的なものである可能性も高いですし、逆にゆっくりペースで成長し、後から素晴らしい才能を開花させる子もたくさんいます。
これから挙げる特徴は、あくまで「ギフテッドと後に認識されたお子さんたちの乳児期に、こうした様子が見られることがあった、という報告もある」という程度の参考情報として、極めて慎重に受け止めてください。
桁外れの好奇心と探求心
目に入るもの、聞こえる音、触れるもの…あらゆるものに強い興味を示し、じーっと観察したり、手を伸ばして確かめようとしたりする。周りの些細な変化にもよく気づくように見える。
驚くほどの集中力
興味を持ったおもちゃや絵本、人の顔などを、他の赤ちゃんよりもずっと長い時間、飽きずに見つめたり、関わったりしている。
五感がとてもシャープ
音、光、匂い、味、触り心地などに非常に敏感に反応する。他の子が気づかないような小さな音に気づいたり、わずかな味の違いを嫌がったりするように見える。
人の気持ちに敏感
大人の表情の変化や声のトーンを敏感に感じ取り、まるで気持ちを理解しているかのように反応することがある。
ショートスリーパーで常に覚醒している
睡眠時間が比較的短くても、日中ご機嫌で活発に過ごしている。起きている間、常に周りをキョロキョロと観察している。
言葉の理解が早い
まだ言葉は話せなくても、「〇〇持ってきて」のような簡単な指示を理解して行動したり、絵本の単語と実物を結びつけているような素振りを見せたりする。
問題解決の兆し
欲しいものが手の届かない場所にある時、近くにあるものを利用して取ろうとしたり、何かを乗り越えようと工夫したりするような、目的を持った行動が見られる。
重ねての注意点
これらの特徴は、ギフテッドとは全く関係なく、単にその子の個性や、一時的に発達が早いだけという可能性も大いにあります。また、これらの特徴が全く見られないギフテッドのお子さんもいます。「うちの子は〇個当てはまる!」といったチェックリスト的な見方はせず、あくまで「そんなこともあるんだな」という程度に留めてください。
才能だけじゃない? ギフテッドが抱える可能性のある「生きづらさ」
「ギフテッド」と聞くと、素晴らしい才能に恵まれ、将来は安泰…といったポジティブなイメージが先行しがちですが、実はそう単純ではありません。
突出した能力を持つがゆえに、周りの環境や人々との間にギャップが生じ、「生きづらさ」を感じてしまうケースも少なくないのです。
周りとのズレによる孤立感
考え方や興味の対象が同年代の子と大きく異なり、話が合わなかったり、浮いてしまったりすることがあります。
過敏さによる疲れやすさ
感受性が非常に豊かで、周りの様々な刺激(音、光、人の感情など)を過剰に受け取ってしまい、精神的に疲れやすい傾向があります。
完璧主義による苦悩
自分自身に対する要求水準が非常に高く、常に完璧を求め、少しの失敗も許せない、といった思考に陥りがちです。
発達のアンバランスさ(非同期発達)
例えば、知的な能力は非常に高いのに、感情のコントロールや社会的なスキルが年齢相応かそれ以下、といった発達の凸凹を抱えている場合があります。
OE(Overexcitability:過度激動)
知性・想像・感情・精神運動・感覚の領域で、刺激に対する反応が非常に強く、激しく現れることがあります。(例:感情の起伏が激しい、想像力が豊かすぎる、じっとしていられない、感覚刺激を強く求める/避ける)
「ギフテッド=幸せ、成功」とは限らず、その特性ゆえの困難さを抱え、特別な理解やサポートが必要になる場合があることを、ぜひ知っておいてください。
最も重要なのは「ギフテッドであるかどうか」ではない
「うちの子、もしかしてギフテッドかも?」そう思うと、親としては大きな期待を寄せてしまうかもしれません。でも、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
子育てにおいて最も大切なのは、「この子はギフテッドなのかどうか」というレッテルを貼ることではありません。
前述の通り、0歳(さらに言えば幼児期)でギフテッドかどうかを正確に判断することは非常に困難です。「ギフテッド」という枠組みに当てはめようとすることで、目の前にいる我が子のありのままの姿や、他の個性を見失ってしまう可能性があります。また、親の過度な期待は、子どもにとって大きなプレッシャーとなり、健やかな成長を妨げてしまうことにもなりかねません。
では、何が大切なのでしょうか?
それは、目の前にいる我が子を、先入観なく、じっくりと観察することです。そして、
- この子は何に目を輝かせているかな?
- どんなことに夢中になっているかな?
- 何が得意で、どんな時に嬉しそうかな?
そういった、その子自身の「好き」や「得意」、「興味の芽」を見つけ、それを大切に育んであげることです。
好奇心を応援する
赤ちゃんが興味を示したものに対して、「面白いね」「なんだろうね?」と一緒に共感し、安心して探求できる環境を整えてあげましょう。
結果よりプロセスを認める
「できたかどうか」だけでなく、「やろうとしている意欲」や「楽しんでいる様子」そのものを認め、たくさん褒めてあげましょう。
ありのままを受け入れる
どんな個性も、その子の素晴らしい一部です。たくさんの愛情を注ぎ、「あなたはあなたのままで素晴らしい」というメッセージを伝え続け、自己肯定感を育むことが何よりも大切です。
すべての赤ちゃんは可能性の塊! 個性を大切に育もう
今回は、0歳児のギフテッドの可能性について触れてきましたが、繰り返しになりますが、それはあくまで「そういう傾向がある子もいるかもしれない」という情報であり、早期判断のための基準ではありません。
「ギフテッド」という言葉やイメージに、どうか振り回されないでください。大切なのは、我が子の個性を丸ごと受け止め、その子らしいペースで、その子ならではの輝きを放てるように、温かく見守り、サポートしていくことです。
すべての赤ちゃんは、無限の可能性を秘めた、かけがえのない「ギフト(神様からの贈り物)」です。
もし、発達のことで気になる点があり、専門的な視点でのアドバイスが欲しいと感じる場合は、一人で抱え込まず、かかりつけの小児科医や地域の保健センターなどに気軽に相談してみるのも良いでしょう。
そして、毎日頑張っているママさん、パパさん自身も、子育ての喜びや楽しさを見つけながら、ご自身の時間も大切にしてくださいね。応援しています!